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宙を感じたエピソード

講義「SFのサブジャンルとしてのスペースオペラ」

講師 嶋田洋一

 

 

 「宇宙を感じたエピソード」というテーマでレポートを書く事になった。A4一枚分。

最近の自分にそのようなエピソードがあったかを考えてみても、そう簡単にはでてこないものである。宇宙といった私大文系の大学生が取り扱うにはいささか大きいテーマに加え、もともとレポートを書くというのはあまり得意ではなく、自分にとっては退屈なことである。今もこうして文字数を稼いでいるがそれでもA4一枚分というのは終りが見えない。なんだかこのレポートが宇宙のようである。なんとかしてこの宇宙空間のような状態から脱出してみたいと思うが暗中模索でこのレポートを進めている。

 

 退屈な時間は1分が1時間に感じるが、楽しい時間はあっという間、なんてことは良くあることで、退屈な講義の時間などは早く終わらないかな、などと頭の中を何度もよぎったりするのは恐らく誰しもが経験することであり、長いと感じるレポートも、自分が関心のあるテーマならすぐに書き上げたりすることもできる。今自分は前者である。今まさに宇宙を感じていると言っても過言ではないだろう。しかし、実際の宇宙はどうなのだろうか。終の見えないただっぴろい空間。あたりは真っ暗でありコミュニケーションも宇宙飛行士ならば宇宙船の中にいる仲間と取り続けるのであろう。きっと、退屈だ。

 

 宇宙にて遂行すべき目的の下でも暇で暇でしょうがなくなったりすることはないのだろうか。きっと宇宙を目の前にした人がそれを乗り越えるための秘策があるのだ。

終りがないような退屈の存在の中に楽しさもきっとある。そしてそれに気づくことができた。

 

 孤独や永遠を感じさせる宇宙では、宇宙飛行士や宇宙人はどのようなことを考えているのであろう。綺麗な星に自分で名前を付けてみたり、まだ見ぬ惑星の生命体とどのような交流をしようか。自分の星のジョークは他の星にも通用するのだろうか。等思いを馳せることができる。すると、宇宙が楽しくなる。退屈だった時間が思いを馳せる時間へと変わる。

生きていれば退屈だったり嫌なことなんて沢山有る。頑張ってやるといった思いを奮い立たせてもすぐにブラックホールに吸い込まれてしまう現実でも諦めてはいけない。

 

 退屈を感じている我々は、いわば真っ暗な闇でも星を見つけ出す宇宙人なのだ。ただただ時間が過ぎるのを待ってる時間なんてありはしないのだ。講義の中に自分だけの楽しさを見出すの面白い。まだ見ぬ発見を探していればきっと長いだなんて感じなくなるはずである。このレポートを打っている最中も、自分の中の新しい人生の楽しみ方の指針を再確認することができた。それだけでも儲けものだ。と纏めてみたい。

 

 レポートを書き終え、時計を見ると深夜の3時である。ベランダに出て空を見上げると東京の空だが星が眩しく輝いていた。

 

(三木星悟)

 

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