top of page

イバーパンクで連想する作品・作家

講義「フルメタル・アパッチー日米文化の受容と変容ー」

講師 巽孝之先生

 

 サイバーパンクと聞いて真っ先に連想するものは日本のSF、サイバーパンクアニメの代表作である、士郎正宗の「攻殻機動隊シリーズ」。この作品について述べて行きたいと思う。

 

 まずこの「攻殻機動隊」は士郎正宗による漫画作品であり、後に劇場版、TVシリーズ、そして今年から新シリーズが劇場公開されており、日本が誇るアニメとしても世界に広く認知されている作品のひとつである。

 

 ストーリーは主に刑事モノで、人間の脳が電脳化されるなど(してない者もいる)、高度な電脳社会のサイバー犯罪に草薙を主人公とする公安9課と犯罪者たちとの戦いを描いた作品である。しかし、自分が思うこの作品の最大の魅力は、決してサイボーグや機械などのメカやSF的な要素でなく、登場人物達の「人間臭さ」である。電脳社会の発達に伴う社会問題や矛盾、哲学、サイボーグ化された人間達だからこそ思う「人間としての本質とはいったい何なのか?」といった問題や、発展したの隅に追いやられたスラム街の人々の生活感あふれる描写などにしてみてもやはり一般的なSFやサイバーパンクとは一線を画す「人間味」がある。

 

 人間の社会である以上、どんなに技術が発達しようとも結局はすべての問題の根源は人間自身にあるということを指摘する士郎正宗の考え方はとても興味深い。SFだからといって取っ付きにくいこともなく、現代の社会問題にも繋がる描写や指摘がたくさんあり、ネットワーク社会の今を生きる人達には是非一度鑑賞してほしい。

 

(井上 岳丸)

 

 

 

bottom of page